俺が飲食店経営をやめた理由は睡眠障害克服と子育てのため

俺は昔飲食店を経営していたが、深夜までやっていたので、まさに昼夜逆転の生活だった。

若くて独り身だった頃は別に苦ではなかったが、年齢を重ねるごとに少しずつ負担を感じるようになっていった。

そして子どもが生まれてさらに負担は増えた。

朝眠りについても子どもが起こしにくるのだ。

まだ何もわからない幼児に対して怒るわけにもいかない。

妻も子どもに俺が寝ている時は部屋に行かないように言ってくれてはいたが、そう簡単に言う事を聞いてくれはしない。

週に何度かは寝入りばなに起こされていた。

それでもまたすぐに眠れればいいのだが、一度目が覚めてしまうとなかなか眠れない。

そうこうしているうちにいつの間にか睡眠障害に陥っていた。

なかなか寝付けなかったり、子どもに起こされてもないのにすぐに目が覚めてしまったり。

そうするとカラダにも不調が出てくる。

仕事中に眠気が襲ってきたり、集中力が低下したり、気力が低下したり。

一番つらかったのは冬場に常に風邪気味だった事だ。

すぐに風邪をひき、なかなか治らない。

気力でカバーしていたが、無理がたたって急性気管支炎になり緊急入院した事もある。


もちろん、色々と対策もした。


コーヒーをやめてみたり、運動をしてみたり、睡眠導入剤に頼ったり。

しかし、なかなか改善はしなかった。


当然、経営状態も徐々に悪化した。

あの頃は色んな葛藤があった。


飲食店経営は夢だったが、命を削ってまで続ける事なのか?というのが一番大きな葛藤だったが、「子どもと一緒にいる時間が少ない」というのも「このままでいいのだろうか」という葛藤を生んだ。


子どもが小さいうちは、平日にお店を休んで旅行にも行ける。

実際、旅行代金の安い平日に沖縄に行ったこともある。

どこも空いてて快適だった。

しかし、幼稚園、小学校になると平日は休めない。

どうしても休めないわけではないが、学校にはちゃんと行かせたかった。

そして俺は逆に週末は休めない。

都会のオフィス街なら土日休みという形態もあるだろうが、田舎は土曜日も稼ぎ時だ。

日曜日は定休にしていたが、家族と遊びに行けるのは日曜日だけ。


そうした葛藤の中、さんざん悩んだ末、一人だけいた従業員の退職を機に店を閉める事にした。


閉めたはいいものの、次の予定も決めていなかったので、しばらくはしんどかった。

とりあえず、地元に帰った。

しかし実家は狭く、同居はできない。

賃貸の戸建てを借りたが、家賃は安くない。しかもこの時点では無職だ。

職探しもなかなかうまくいかない。

30代半ばで働ける職場は限られてくる。

とりあえずつなぎで色々な仕事をやった。

太陽光パネルの設置検査、造船所の雑役、金属ゴミの回収。

あの頃はとてもみじめだった。店を閉めた事を後悔したこともあった。

しかしそんな中、「これだ!」と思える仕事が見つかった。

それが今の仕事なのだが、やりがいもあり、日中の勤務で土日祝休み、盆暮れに2か月分のボーナスが出るし、誰でも知っている大企業の関連企業。条件面もとても良いので満足している。

恩返しをしようと頑張った結果、好成績を残して一定の評価を得る事もできた。

本当に運が良かった。

 

そして入社4年目にローン審査も通り家も買えた。

今は毎週末家族で過ごし、土日で遊びに行けるようになった。

夜はゆっくり眠れるので健康的にもなった。

規則正しい生活で気力、体力も充実してきたので筋トレなどの運動にも取り組める余裕ができた。

先日体組成計でカラダ年齢を測ったら、20代後半だった。

めちゃくちゃ健康体だ。

 

本当に色々あったし、これは結果論かもしれない。

もしかしたら一家離散になっていたかもしれない。

やりたいと思える定職がなかなか見つからず、妻に当たった事もある。

そんな俺を見限らず、支え続けてくれた妻には本当に感謝している。


日本人は忍耐や長く続ける事を評価する。

そういう意味では夢だった飲食店経営を途中で放り出した俺はハンパものかもしれない。

しかし、結果的に俺は葛藤から解放され、幸福を手に入れた。

もちろん、運が良かっただけかもしれない。

でも、もしあなたが同じような悩みを抱えているなら、こういう解決方法もあるという事を知って欲しい。

時には忍耐も必要だと思うが、忍耐ばかりだと心身がすり減ってしまう。

先の見えない未来のために現在を犠牲にするのは本当に最良の選択肢なのだろうか?

あなたに合う環境がきっとあるはずだ。